ゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想に行ってきたin千葉県

瞑想
近所の苔。記事の内容とは無関係です
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「瞑想をしたい」と思ってたどりついたのは、千葉の人里離れた瞑想センターだった。学校のグラウンドより大きいくらいの瞑想センターでは、カエルがその辺でぴょこぴょこ飛んでいたり、竹やぶがあったり、夜になると星がよく見える。

僕が行ってきた10日間コースでは、1日10時間の瞑想時間が与えられ、計100時間は瞑想時間が用意されている。そこで朝早くから夕方までひたすらに瞑想をする。食事はボランティアスタッフ(奉仕者)さんが作ってくれるので心配はない。食事時の鐘の音を聞いたら食堂へと向かう。

このような経験はなかなかないので、体験談としてまとめておきたいと思う。

いつどこに行ってきたのか

僕は2018年の秋ごろに、日本ヴィパッサナー協会という非営利団体が行っている「10日間コース」という瞑想コースに参加した。場所は千葉県長生郡睦沢町にあるダンマーディッチャという名の瞑想センター。日本ヴィパッサナー協会のサイトではこのように紹介されている。

日本ヴィパッサナー協会(JVA)は、サヤジ・ウ・バ・キンの伝統のもと、S.N.ゴエンカ氏またはそのアシスタントの指導によるヴィパッサナー瞑想コースを行う非営利団体です。

出典:https://www.jp.dhamma.org/ja/

実を言うと、この10日間コースに参加する前に、同じくヴィパッサナー瞑想を教えるマハーシサヤドーの系統のヴィパッサナー瞑想を本で読んだり、瞑想会に参加して軽く指導をうけて、数ヶ月間は実践していたのだが、この10日間コースの間はマハーシ式のヴィパッサナー瞑想を実践しないことを誓うことで参加を許可されたのだった。どちらも同じくヴィパッサナーと名乗ってはいるが、瞑想のスタイルが異なる。少なくともこの10日間は、別の流れを汲む指導法をごちゃまぜにして実践することは避けるということだ。

ヴィパッサナー瞑想とは

ヴィパッサナー瞑想とは何なのか。日本ヴィパッサナー協会のサイトでは、

「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。

出典:https://www.jp.dhamma.org/ja/

と紹介されている。

この10日間コースの中では、ゴエンカ氏の瞑想指導の音声を聴き、アシスタントティーチャーの指導を受けることになる。(ゴエンカ氏は2013年9月に亡くなられている。)日に日に新たな瞑想指導が加わっていき、最終日まで行くと、家に帰ってからも瞑想実践ができるようになる。

姿勢はあぐら、足を重ねずに前後におくあぐら、結跏趺坐、半跏趺坐、椅子など、体が安定して、リラックスできるならどれでもいい。

その姿勢で、まずは呼吸したときの鼻腔周辺の感覚を観察する瞑想(アーナパーナ)が指導される。何日かこの瞑想を続けると、次に体の感覚を観察する瞑想が指導される。そして最終日が近くなると慈悲の瞑想と呼ばれる瞑想が指導される。

基本的には二つ目の「判断を付け加えず、体の感覚をありのままに観察する。」という実践がメインとなる。

瞑想実践の10日間

基本的なスケジュールはこのようになっている。

午前4時: 起床
午前4時30分~6時30分: ホールまたは自分の部屋で瞑想
午前6時30分~8時: 朝食と休憩
午前8時~9時: ホールにてグループ瞑想
午前9時~11時: ホールまたは自分の部屋で瞑想
午前11時~12時*: 昼食
午後12時~1時: 休憩および指導者への質問
午後1時~2時30分: ホールまたは自分の部屋で瞑想
午後2時30分~3時30分: ホールにてグループ瞑想
午後3時30分~5時: ホールまたは自分の部屋で瞑想
午後5時~6時: ティータイム
午後6時~7時: ホールにてグループ瞑想
午後7時~8時15分: 講話
午後8時15分~9時: ホールまたは自分の部屋で瞑想
午後9時~9時30分: ホールにて質問
午後9時30分: 就寝

出典:https://www.jp.dhamma.org/ja/reference/code-of-discipline/

朝4時起きで9時半就寝という相当健康に良さそうなスケジュールだ。午前中に5時間、午後は5時間以上の瞑想時間があり、計一日10時間は瞑想時間があるのだが、瞑想がつらくなって、正直サボりたくなってしまうと思う。とはいえ「瞑想しかできない環境にいるのに、サボってなんの意味があるのか」と思って、僕は結構まじめに瞑想していた。

スケジュールにもあるように、瞑想をするのはホールか自分の部屋になるのだが、自分の部屋といっても僕の場合、個室ではなかった。というのは、最初の手続きの際に自分のベッドの番号が指定される。そのベッドのある宿舎のような建物に入るとベッドがところ狭しと並んでいて、そのベッドの上が自分のスペース(自分の部屋)になるというわけだ。また「ホールまたは自分の部屋で瞑想」の時間に瞑想する場所でもある。(あとから知ったが、今言ったベッドが並んでいるだけの建物と個室がある建物があり、僕は前者だった。)

周りを見れば知らない人がすぐそこにいるという環境で生活するのは久しぶりだったが、このコース中は他の人とは話さない、目を合わせないというルールがあるので、そこまで面倒くさいやりとりはなく、楽である。

というわけで、僕の場合、実際に瞑想するのはそのベッドの上か、全員が集まるホールだった。

「ホールまたは自分の部屋で瞑想」という時間の場合、やる気を出してホールで瞑想してもいいのだが、ちょっと眠気や疲れがきたら、顔を洗ったり、軽く散歩して、自分のベッドの上で瞑想してもいい。寝てしまっても誰も文句は付けないが、瞑想する雰囲気を壊してしまい、他の人も巻き込んでしまうのであまり良くはない。この時間は自分との戦いになる。

個人的アドバイス――痰つぼを持っていけ

ここで個人的なアドバイスをひとつ残しておきたい。

最終日の夕方あたりに、参加者が瞑想ホールに集まってゴエンカ氏の講話音声を聴いていたときだったと思う。(それか、瞑想ホールで集まって瞑想していたときのことかもしれない。記憶があやふやです。)

周りで皆が静かに講話を聴いているからか、緊張してしまい、つばが出てしまう。つばが口の中に溜まるので飲み込む。すると空気がおなかの中に溜まって、口から空気が出て行く。げっぷのような大きな音が鳴るわけではないが、弱く、か細い感じでグーグーと喉が鳴ってしまうのだ。(炭酸を飲んだときも同じようになる)

こうなると徐々に気持ち悪くなっていき、じゅわーと変な味のつばが分泌され、口の中はねばねばして、口いっぱいのつばを飲むのも限界になっていく。(いきなり、気持ちの悪い描写すみません。)するとおなかの方から定期的に嗚咽感が襲ってきた。

完全に悪いループに入ってしまって、このような気持ち悪さを解消するには一旦横になればいいことは、昔からの経験からわかっていたが、この法話も1時間程度で終わるし大丈夫だと、自分に言い聞かせて、ずっと座っていた。

このコース中は、困ったことや健康面で困ったことがある場合、マネージャーに相談できるので、ひとこと言って、瞑想ホールを離れて横になればよかっただけだ。しかし、もうすでに歩くだけで胃液とか吐きそうな感じで、結局のところ、1時間オーバーくらいの講話の音声を話半分に聴いてから瞑想ホールを出ることになる。

僕は対処法としてタオルを持っていって、つばを染み込ませていた。笑(なにしてるんだという感じでしょうが、タオルがあるだけでいくらか安心するのです。)もしくは、今ごろだが、痰つぼをもっていって、つばを出してしまえばいいじゃないか!とか思っている。

まあ、気持ちが悪くなりそうなときは早めにマネージャーさんに相談しておいたほうが一番いい。

感想とその後の実践

10日間の瞑想実践をしてみて最終日までに何か変わったかというと、その当時は「あまり変化がないな~」と思っていた。気持ち悪くなったり、背中に鈍痛があって瞑想がつらい時もあったけど、あとから振り返るとすぐ終わってしまったという感じだ。細かいところで言うと、頭の皮膚感覚がかなり敏感になって、ヘルメットをかぶったみたいだとは思っていた。

一年経った今考えてみると、この経験によって、普段から呼吸や体の感覚に意識が向くようになったことは大きな利点だ。体の感覚をみることで自らの感情を観察することができるので、すぐ怒ったりはしなくなった。あるいは怒ってもすぐ気付いて軌道修正できるようになったと思う。

あくまで日本ヴィパッサナー協会で教えてもらったヴィパッサナー瞑想では、感情をストレートに直視するわけではなく「体の感覚(痛み、かゆみ、あつい、じわじわ、など)に気づく」という実践がメインなので、過去を自分から思い出したり、「今の感情は何なのか。欲望か、嫌悪か。」と考えなくても良い。

コースを受けた後の瞑想はどうしていたかという話だが、毎日朝夕1時間の計2時間瞑想するという教えに従って、頑張って瞑想をしようと思い、最初の2、3週間は頑張って瞑想をしていた。しかし、そもそも「あまり変化がないな~」という感想だったので、続けるモチベーションが分からなくなり、徐々に瞑想する時間を取らなくなって、たまにいきなり一時間の瞑想をするというような感じだった。むしろパーリ語のお経(大念処経とか)を読んだり、キリスト教関連の本を読みまくっていた。

だが改めて最近、「少しでもいいから毎日続けることのほうが重要だ」と思い直して、一日15分は座って瞑想実践するようにしている。

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